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9月議会最終本会議 放課後子ども支援事業に対する日本共産党の意見

堺市議会最終本会議での岡井勤議員による「放課後児童クラブ、すなわちのびのびルーム72校へのプロポーザルの導入」に反対する討論全文です。

日本共産党以外の賛成多数で可決

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議案第111号 平成28年度堺市一般会計補正予算のうち、放課後子ども支援事業に対する日本共産党の意見を申し述べます。 

 本補正予算案には、放課後子ども総合プラン事業運営委託の更新5校、放課後児童対策事業運営委託の更新72校、放課後ルーム事業運営委託の更新12校、計89校について、平成29年度事業における入札等の準備行為のための、債務負担行為に関するものが含まれています。 

 とりわけ、放課後児童クラブ、すなわちのびのびルーム72校へのプロポーザルの導入は、この度の補正予算で突然提案されたものであり、保護者や指導員など、関係者にはまったく説明が成されていません。 まずは、関係者に対し説明を行い、話し合いの機会を持つのが筋であり、その手順を踏まずして突然議会に提案し採決にかけることは決して市民の理解を得られるものではありません。 

 また当局は、すでにプロポーザルを導入されている堺っ子クラブなどでは、「問題が出ていない」として、すべての のびのびルームにプロポーザルを導入しようとしていますが、果たしてそうでしょうか。 実態をきちんと把握されているとは言えません。さらに言えば、仮に「問題が出ていない」としても、それで結構だというものではないはずです。 

 すなわち、当局において学童保育の施策推進の理念と目的、目標と計画を持ち、実践にもとづいて成果と問題点を総括し、課題を次年度に引き継ぎ、実践の成果をさらに蓄積させながら、本市の学童保育を充実させていこうとする、その姿勢があるのかないのか、そこが問題です。失礼ながら、当局はそのような姿勢を持って臨もうとしておられるようには見えません。 

 たとえば、民間企業が、ある事業展開をする際にプロポーザル方式を用いるとします。その際、企業は、その事業をどのような理念のもとに、どういう目的を設定し、どのような成果、利益を生み出すのかを徹底的に議論を重ねたうえで、方向性を明確にして、初めてプロポーザルに出すわけです。本市の学童保育へのプロポーザル導入にあたり、当局はそのような姿勢を持って臨もうとしておられますか? ただ単に、プロポーザルという便利な方式があるから、これを利用しようなどという程度でしか考えてはおられませんか。 

 そもそも、本市は学童保育事業を、どのように取り組んでこられたでしょうか?学童保育における実践の蓄積という点では、唯一、実践報告集が出されてきました。しかし、それも今から12年前の第4集までは確認できますが、それ以降は出されたのかどうかも定かではありません。指導員の中には、公立の仲よしクラブ時代から自主学童時代を経て、のびのびルームの開始まで指導員をやってこられた方が多くおられました。また、自主学童保育時代から今日に至るまで指導員を続けている方も少なくありません。

 当時は、いずれの自主学童保育においても、保護者の中に教員や保育士、看護士や保健師さんたちがたくさん居られましたから、指導員さんたちは、放課後児童の生活の場としての過ごし方、遊ばせ方、集団指導のあり方、健康面への気配り、家庭に問題を抱えた子どもへの対応、そして保護者や学校、地域との連携についてなど、数々のアドバイスを受け、知識と経験を培ってこられました。そのような指導員さんは今も少なからず残って居られます。そして、自主学童保育のもとでも、文集をつくり経験をまとめてきた保護者会も少なくありません。 

 ノウハウを言うならば、ここにこそ生きたノウハウがあるにもかかわらず、堺市は何故それらの経験を生かし、発展させようとしてこなかったのでしょうか!?実践報告集にもとずく指導員研修は、経験豊かな指導員からノウハウを学び、経験の浅い指導員の資質を向上させ、広めていく重要な教材だったにもかかわらず、何故その発行をやめてしまったのでしょうか。実に、もったいないと言わなければなりません。これは、単に事業団に責任があるという問題にとどまらず、実践報告集の有無すら把握せず、指導員の資質向上に本腰を入れてこなかった教育委員会の姿勢に問題があると言わなければなりません。これは、過密問題の解消においても然りです。保護者や指導員が毎年のように要望されても、長年にわたり抜本的解決がなされてきませんでした。 

 このような姿勢を脇において、単に「問題が出ていないから」というような考えで、学童保育にプロポーザルを導入して、果たして今後も問題は出ないと言えるのでしょうか。 さらに言えば、ただ単に平穏無事に運営されて行けばそれで良いという問題ではありません。本市は、将来にわたり学童保育の充実と向上はどのようにして図って行くおつもりなのでしょうか? その展望や計画を持っておられますか?しかも、3年ごとの契約で、資質の向上、事業の経験蓄積は担保できるのでしょうか? これらを考えると、企業が、ある事業を展開する際に、しっかり方向性を持ってプロポーザルを用いるのとは、根本的にその姿勢が違うと言わなければなりません。  
 本市では、子ども・子育て支援事業計画や、障害者長期計画、高齢者保健福祉計画や文化芸術推進計画、中心市街地活性化計画やバリアフリー基本構想など、数々の計画や構想を出していますが、学童保育では、そのようなものが出された事がありません。 そんな状態で、いったい何を基準に、何を目標として、学童保育を充実し向上させていこうというのでしょうか!?プロポーザルで委託事業者に、何を求めようとするのでしょうか?教育委員会は、よりよい市民福祉の提供という覚悟を持って、プロポーザルに臨まれるのでしょうか?そうでないなら、無責任であり、無策と言わなければなりません。 

 事業団によるこれまでの運営においても、現場からいろいろな要望が出されてきましたが、小さな事は改善されても、大きな事はなかなか改善されないことが多くありました。これは、事業団と教育委員会との風通しが悪いためです。これでは、プロポーザルで他の事業者が運営する場合でも、同様の問題が起るでしょう。要するに、プロポーザルによって、どの事業者に事業を委託するにせよ、発注する側の姿勢が問われるんだということを、重ねて申し上げておきます。 

 さて、堺の学童保育は1966年の設立以来、自主学童を経て、今日ののびのびルームに至るまで50年の歴史があり、のびのびルーム開始後も全児童対策事業に統括し、廃止しようとする動きなど、いろいろな紆余曲折がありました。それでも、保護者や指導員の切実な願いのもと、それを乗り越え継続してきました。それは時代の要請、社会の要請だったから、堺市も応じざるを得なかったのだと思います。

 いま、さらなる社会の要請にもとづき、国において放課後児童クラブの運営指針や運営基準が定められたわけですが、そういうもとで、堺市の放課後児童クラブ、すなわちのびのびルームをあらためて推進するにあたり、たとえば『堺市の学童保育のあゆみとこれから』と題する冊子を制作し、50年の歴史を総括すること、併せて将来に向けて堺市ののびのびルームをどのように充実していくのか、その実施計画をも盛り込んだものを作るべきです。そのような姿勢や方向性を示すこともなく、単に「問題が出ていない」という安易な考えでプロポーザルを導入すれば、市民の側から「民間事業者に丸投げか」との印象を強く持たれてしまうことになるでしょう。 

 ちなみに、学童保育の充実と方向性をきちんと持たずプロポーザルを導入すればどのようなことが起きるでしょうか。東大阪の例を紹介しますと、東大阪市は「事業者が変わっても保育内容は変わらない」と、保護者に約束していましたが、事業者は「各学童保育の内容を均一化する」という理由で、最も低い保育内容に均一化したため、各学童保育の内容が大きく変わりました。その結果、個々の学童保育が行っていた独自の行事は無くなり、子どもたちは混乱しているとのことです。

 また、指導員と保護者との連携、指導員と地域との連携も無くなったとも言われています。なお、東大阪市で学童保育事業を受諾した企業は、運営費用の「3割以上」を企業の利益にとしているとの事です。学童保育事業が、企業の儲けのために切り売りされている典型です。 そもそも、企業が同じ事業を同時に多店展開する時、個々において専門的に、特別な事をやっていたら、効率が悪く儲けには繋がりませんから、一番手っ取り早い方法は、事業のマニュアル化です。これが、定石です。 

 当局は、堺の子どもたちの放課後の過ごし方を、マニュアルによって画一化させようとするおつもりなのでしょうか!? これは、各行政区の特色を生かした街づくりを進めようとしている区民評議会の方向性とも矛盾する事になりませんか? 地域ぐるみの子育ての一環としての、学童保育をどのように位置づけ、特色あるものにしていくつもりなのでしょうか?  

 プロポーザルに反対する署名は、短期間の取り組みにも関わらず、昨日現在で個人署名が8千筆を超え、団体署名が152に達していると聴きます。 堺市の学童保育へのプロポーザル導入は、府内各自治体の学童保育事業に及ぼす影響が少なくなく、大きな関心を呼んでいると言っても過言ではありません。

 市長は常日頃から「市民目線に立って。現場の声を聴いて」と表明しておられますが、これと矛盾していませんか。わが党は、大綱質疑や文教委員会、総括質疑において何度も「いったん撤回し、仕切り直しをして保護者との話し合いの場を持つべき」と、求めてきました。これを受け止める気持ちがあるなら、補正予算案から削除し、仕切り直しをする機会は何度でもあったわけです。 しかし、提案を押し通そうとする姿勢には残念としか言いようがありません。  

 厚労省の放課後児童クラブの運営指針が示されたもとで、堺市がどのような学童保育を目指そうとしているのかを市民にきちんと説明すること、それがまず先決であり基本だと思います。そこで、のびのびルームの今後の運営にあたり、教育委員会には以下の5点を基本とし、堅持するよう求めておきます。 

 ①「1支援単位に40人」を厳守するとともに、堺市ののびのびルームの現状に鑑み、  「1支援単位に2人の専任を配置する」こと。  

 ②指導員の処遇改善を図るとともに、研修を充実し毎年定期的に実践報告集を発行すること。 

 ③保護者会を奨励するとともに、保護者懇談会を月1度程度行い、日々の連絡帳のやり取りはもちろんのこと、保護者との連携、恊働をすすめること。 

 ④ 学校、地域、関係機関との連携を、さらに密にすること。  

 ⑤事業運営にあたっては、安定性と継続性を担保するため短期間の契約はやめること。

 以上5点を基本に据え、堅持されるよう強く求めておきます。さて、本補正予算案には、泉北高速鉄道通学定期運賃に対する補助、原池公園事業の整備費、南海本線連続立体交差事業など、わが党が実施や推進を求めてきた事業も含まれており、これらについては評価し賛成を表明するものです。しかし、のびのびルームへのプロポーザル導入に関わる「放課後児童対策事業予算」については、以上述べてきた理由により認めることはできません。 

 プロポーザルの導入を撤回し、いったん仕切り直して、保護者や指導員の声にしっかり耳を傾け、まず話し合う機会を持つべきであることを重ねて要望しまして、日本共産党の意見と致します。